研究課題
基盤研究(C)
本研究で扱った地層試料はすべて国際深海掘削計画(ODP)において、掘削船ジョイデス・レゾリューション号によって回収された北太平洋中緯度域の深海底堆積物である。堆積物に含まれる微化石や砕屑物粒子を分析して、中新世から更新世を主とした後期新生代の年代幅のなかで、北太平洋の中緯度域において西から三陸沖、シャツキーライズ、カリフォルニア沖の3地域を比較対照しながら古海洋変動の変遷を議論できる素地が固まった。珪藻の形態別頻度の層位的変化を3地域で比較したところ、三陸沖では丸型が優占種となるが、シャツキーライズでは丸型と共に湧昇流型が多い。また、カリフォルニア沖では丸型・湧昇流型・舟形が優占種の地位を交代している。このことから、三陸沖では常に丸型が卓越するような環境が安定的に続いていたのに対し、カリフォルニア沖では沿岸湧昇流が散発するような変化に富んだ環境を示していると考えられる。タクサの構成や頻度に地域的な特性が現れているものの、増減の変化の外観がよく似ていることから、3地域は遠距離にあっても北太平洋の同じ海流の影響をモニターしているものと推察される。シャツキーライズやカリフォルニア沖では約8Maを境にして、珪藻と放散虫の個体数が大きく入れ替わっている。珪藻や放散虫から構成される珪質微化石群集のうち、約8Ma以前の群集を群集-1、それ以降を群集-2と名付けた。群集-1から群集-2への変化は、約8Maに起きたインドネシア周辺の隆起によって、北太平洋の海流系が表層から深層まで大きく変化したことに対応しているものと推測される。また、珪藻と放散虫の増減サイクルにおいて、約3Maからそれぞれの周期が短くなり、振幅が増大している。この変化を堺にして、群集-2を群集-2aと群集-2bに細分した。群集-2aから群集-2bへの変化は約3Maから進行した北半球氷河作用の強化を反映しているものと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (6件)
化石 79
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Fossills (Palaeontological Society of Japan) 79
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