研究概要 |
平成17年度中は,新潟県北蒲原郡と北海道中央南部穂別・夕張地域における野外地質調査を実施し,また古環境指標としての放散虫の有用性を高める生態学的研究成果,すなわちセジメント・トラップ実験による群集の季節変動の研究と海底堆積物を用いた分布の研究の成果を,合わせて3編の論文として公表した. 新潟県北蒲原郡における現地調査は2005年6月3日から9日まで実施した.調査地域には前期中新世から鮮新世の時代およ新第三系がひろく分布し,調査対象は釜杭層,下関層,内須川層,鍬江層である.このうちとくに中期中新世から後期中新世にかけての下関層・内須川層について,前年度までの調査データを踏まえて,放散虫,珪藻用のサンプリングなどの補足的な調査を行った. 2005年7月23日から8月1日までは北海道穂別・夕張地域で現地調査を実施した.調査対象は中期中新世から鮮新世にかけての栄層,滝の上層,アベツ層,川端層,二風谷層,荷菜層である.これらの地層中のとくに泥質岩についてルート調査と露頭調査,放散虫・珪藻用のサンプリングを行った.これらの調査により持ち帰った試料については実験室で処理を進め,群集解析や年代分析用のプレパラートを作成した. 平成15年度に長野県戸隠村付近で実施した地質調査にもとづいた研究成果を論文原稿としてまとめ,2006年1月に学術誌へ投稿した.その他,茨城県沖の海底コアにもとづく古環境解析の論文一編を投稿中である. これらの進捗により,本研究の当初の目的7割程度が実施され,最終年度となる平成18年度には後期中新世の日本海の古環境復元についての成果を公表できる見通しが立った.
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