研究概要 |
2003年6月10日〜27日および10月26日〜11月4日の2回ノルウェーに渡航し,研究協力者であるKjell R.Bjorklund教授らとともに,ノルウェーのSogndalにて放散虫を採集した.採集後,PCR法により18SrDNA領域の増幅を行い,十数種の18SrDNAの増幅に成功した.クローニングを経て,塩基配列解析を行ったところ,これまで,数種の18SrDNAの塩基配列を解読できた. そこで,申請者が解析したデータをもとに,放散虫特有のプライマーを設計し,これを用いて,放散虫と共生藻の18SrDNAがともに増幅されたものをテンプレートとし,セカンドPCRを行ったところ,Cladococcus viminalisの増幅にも成功した. これまで解析したデータにより,系統樹を構築し,真核生物全体の中でのPolycystinea綱とAcantharea綱の系統関係を調べた.NJ, MP,およびML系統樹全てで,それら2綱はクラウン生物群の根の部分で分岐し,単系統を形成していた.その単系統は73%,84%,および64%のブーツストラップ確立で支持された.また,Polycystinea綱とAcantharea綱のみの29種データセットでは,それら2綱の内部における系統関係は,NJ, ML系統樹で,Spumellaria目の群体性と無殻単体性がNassellaria目と100%のブーツストラップ確立で単系統を形成し,またブーツストラップ確立は低いがSpumellaria目のSpongodiscidae科はAcantharea綱と近縁であることが示された.
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