研究概要 |
真核生物内での放散虫の系統関係を調べた57種データセットでは,Polycystinea綱はAcantharea綱と単系統を形成し,Phaeodarea綱はPolet et al.(2004)の結果と同様に,Cercozoaに属する種とともに単系統を形成した.Phaeodarea綱については,遊走子の鞭毛の数や殻の形態的な特徴など,Cercozoaに属する種との類似性が見られること(Polet et al.,2004),また,Polycystinea綱については,Acantharea綱の殻と同成分のSrSO4を含む遊走子をつくることや共生藻を持つことなど,Acantharea綱との類似性が指摘されている(Anderson,1983). 一方,Polycystinea綱とAcantharea綱の系統関係を調べた29種データセットでは,Polycystinea綱Spumellarida目の群体性と無殻単体性種は同じくPolycystinea綱のNassellarida目と,Spumellarida目のうちの有殻単体性種はAcantharea綱とそれぞれ単系統を形成した. 群体性および無殻単体性種のSpumellarida目は三叉状の骨針を細胞質内に持っているが,この三叉状の骨針はNassellarida目の内部基本骨格に類似している.また,Spumellarida目の有殻単体性の骨格は,Acantharea綱の放射状の骨格と類似している.これらの形態的特徴の類似性は,18SrDNAによって示されるPolycystinea綱(Spumellarida目)の側系統の関係を支持しているものと考える.
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