研究概要 |
Polycystinea綱のSpumellarida目に属するDictyocoryne profunda, Dictyocoryne truncatum, Spongaster tetras, Didymocyrtis tetrathalamus, Euchitonia elegans, Dicranastrum furcatum, Triastrum aurivillii, Nassellarida目に属するEucyrtidum hexagonatum, Pterocorys zancleus,およびPhaeodarea綱のChallengeron diodon, Conchellium capsula, Protocystis xiphodonの18S rDNAの塩基配列を決定した.これらの塩基配列と国際塩基配列データベースから得た既知の放散虫の塩基配列に基づき,その系統学的位置について考察を行ったところ,放散虫のうちのPhaeodarea綱はまったく別の系統であるCercozoaと近縁であることがわかった.また,Polycystinea綱のSpumellarida目が側系統になり,その一方の単体性Spumellarida目が,ことこれまでに放散虫に属さないとも考えられてきたAcantharea綱と単系統をなすこともわかった.Phaeodarea綱がCercozoaに含まれたこと,一方,Polycystinea綱が珪酸質の,Acantharea綱は硫酸ストロンチウムの殻と,まったく殻形質が異なっているもの同士が(分子による再検討で)単系統群を形成したことは,現行の放散虫の分類体系を改訂する可能性を示唆する.
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