研究課題
基盤研究(C)
当該研究期間において、以下を実行した。(1)2つの異なるナクライト隕石の研究により類似する親マグマ組成を質量保存計算法を用いて決定し、その結晶化過程を調べ、その結果を国内外の学会等で口頭発表した。やまとナクライトの親マグマの計算および結晶化過程などの岩石学的研究の成果はMeteoritics and Planetary Science誌に発表した。(2)常圧縦型酸素雰囲気制御炉を立ち上げた。この装置を用いて、QFM条件下で、ナクライト親マグマの相平衡関係を決定する実験を行うとともに、ナクライト親マグマの結晶化実験を行った。実験開始当初、出発物質作成時に混入したステンレス片が見つかるなど実験技術が未熟であった。このとき以降、乳鉢を瑞垣に変え、実験を継続して行った。装置を使いやすくするなど工夫を行った結果、再現性の商い実験法を自ら確立し、実験精度を大きく向上することができた。一部の実験に追試実験を行った。これまでの実験結果に基づくと、一つのナクライト親マグマ組成のリキダス温度は、1140℃でチタノマグネタイトと普通輝石が晶出する。ソリダス温度は〜980℃である。(3)質量保存計算により導いたナクライトの親マグマ組成を用いた実験により、ナクライトに見られる普通輝石斑晶のコアと同一組成の輝石が析出することがわかった。このことは求めた親マグマ組成が正しいことを強く示唆する。4.2℃/時間の冷却実験で、南極産のMIL 03346ナクライトにきわめて良く類似する組織ができた。ナクライトの輝石斑晶のリム組織は2層からなり、2層目にヘデンバージヤイトを出すMIL型と2層日にCaに乏しい輝石を出すやまと型に分けられる。1℃/時間の冷却実験でやまと型のリムを再現し、4.2℃/時間の冷却実験でMIL型のリムを再現することに成功した。実験は継続しており今年の夏までに完了見込みである。これらの一連の実験結果は、今年の春から夏の国内外の学会等で発表する。また今年中に国際誌に投稿予定である。
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