研究課題
基盤研究(C)
H15年度はプラズマ中に存在するCF_4を高感度かつ簡便に測定する手法として、70eV電子衝撃イオン化でCF_4だけから生成するCF_3^<2+>イオンが利用できることを見出した。これにより、地球温暖化係数(GWP)が大きなCF_4がSiO_2のエッチング領域以降でも生成していることを明らかにした。H16年度は、パーフルオロカーボン(PFC)プラズマ中で生成する種々のPFC分子を高感度に観測するために低圧型リチウムイオン付着質量分析計(IAMS)を導入し、その性能について検討した。通常の電子衝撃イオン化法では、PFC分子は解離を起こし、親分子を同定することは困難となる。この現象は大きな分子ほど顕著である。リチウムイオン付着イオン化法では、PFC分子をフラグメントフリーでイオン化できるため、親分子にリチウムイオンが付着したイオンだけを観測できる。したがって、あいまいさなく親分子を同定できるという利点がある。プロセシングに利用するPFCプラズマでは、多くの場合全圧が数Paと低圧であるため、このような低圧でも利用可能なIAMSを導入した。この装置では3体衝突によるリチウム付着イオンの安定化が期待できないために、CF_4のような小さな分子の検出効率は悪いが、大きなPFCでは並進エネルギーが振動エネルギーに速やかに分配されるため、高確率でリチウムイオン付着が起こる。この装置を用いてAr/CF_4プラズマ下流における中性分子の質量分析を行ったところ、C_7F_<16>やC_8F_<16>のような大きなPFCが生成していることを発見した。一般に、飽和PFCは化学的に安定で人体には無害であるがGWPが大きい。一方、不飽和PFCでは反応性が高いためにGWPは小さいが、人体に有害である。以上、科学研究費の研究期間において、CF_4のような小さな分子からC_7F_<16>やC_8F_<16>のような大きなPFCまで高感度に測定できる技術を確立した。
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