研究課題
再結合プラズマによるx線レーザーは、装置の小型化が可能なので多くの研究がなされてきたが、そのほとんどは準定常プラズマを仮定して数値計算が行われてきた。しかしながら、このようなプラズマではレーザー発振に電子密度の上限があり、利得に限界があることをこれまでの研究で明らかにしてきた。本研究の目的は、我々がアバランシェ再結合と呼んでいるきわめて過渡的な再結合過程が高密度プラズマで実現でき、高利得のx線レーザーが可能であることを数値的に示すことにある。研究成果概要を以下に示す。1.炭素等の低Zイオンについて、再結合プラズマの衝突・放射モデルに関するコードの整備を行い、炭素の完全電離高密度プラズマの再結合時におけるレーザー発振条件を調べた。ここで、電子温度を10eVとし、初期電子密度をパラメータとして過渡的な再結合プラズマを対象とした。その結果、電子密度が10^<19>cm^<-3>以上では、利得係数は5000を超えて密度にほぼ比例して高くなるが、持続時間は1psから10fsに減少してしまうことが判明した。即ち、極めて過渡的であるが、高利得のレーザー発振が可能であることが示された。2.再結合プラズマの生成に荷電交換反応を利用すれば、x線レーザーの利得をさらに向上できる。研究分担者の難波が中心となって、完全電離した炭素イオンとヘリウム原子との荷電交換反応よる効果を計算した。その結果、CVI18.2nm線の場合、利得が3500cm^<-1>という高い値が可能であることが示された。荷電交換なしの場合の利得は200cm^<-1>程度であるから、この手法が非常に有効であることが分かる。3.再結合プラズマ生成に関連して、Heプラズマでの短パルスレーザー誘起蛍光の時間発展型衝突・放射モデルによる解析も行っている。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
4th Int.Symp.on Plasma Polarization Spectroscopy, Kyoto, Japan NIFS PROC-57
ページ: 137-143
9th Int Conf.on X-ray Lasers, Beijing, China, May 24-28 (2004)
ページ: 75