研究課題
基盤研究(C)
トカマクにおける電子サイクロトロン放射(ECE)は通常磁場の弱いトーラスの外側から観測し、電子温度分布(T_e(r))を得ている。2倍高調波を観測する事によりT_e(r)の時間変化が得られる事が特長である。しかし、T_eが高くなると相対論的効果によりその特長が損なわれる。即ち、1)T_e〜10keV程度で見かけ上のT_e(r)のずれが起こり、電子密度(n_e)の情報で補正できるが、ECE計測の独立性がなくなる。2)T_e>20keVでは3倍高調波の相対論的効果が2倍高調波に影響を与え、T_e(O)が測定できなくなる。数値解析により、これらに対して観測方向を変えることによりその対策を示すことが本研究の目的である。1)に関して、ずれの補正をECE計測自身で行える様にECEによるn_e測定方法の可能性を示した。同じ空間位置から放射されるECEを強磁場側・弱磁場側の両側から観測し、観測した同じT_eの放射周波数の差が放射率の形を反映している。放射率はn_eに比例するので、この周波数差を測定してn_eを求める方法を開発した。2)に関して、磁場に斜め伝搬する場合について電子が球対称相対論的Maxwell分布における放射率を導出した。これを用い伝搬方向を3次元的にスキャンした。水平面から斜めに観測する視線では、T_eの測定できる範囲が広がることが分かった。しかし、2倍高調波をあらゆる方向から観測しても、従来の一つの放射輝度のデータからT_eを導出する方法では、相対論的効果の影響を完全に減じることは出来ない。更にLHD装置での相対論的効果の影響を評価し、ECEの特長が損なわれない方策を示した。T_eが5keV程度で見かけ上中心付近でECEによって観測されたT_eが減少する事が分かった。T_eが高くなると、またはn_eが低くなると、その影響が大きくなる事が分かった。プラズマ磁気軸が磁場の最大位置の手前に来る視線であれば、T_e(O)が測定できる事を明らかにした。
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