研究課題
光触媒として一般的な酸化チタン(TiO_2)』を用いた。新規分解法の開発にあたり機構的解明を行った。TiO_2コロイド水溶液中における有機化合物の一電子酸化反応過渡吸収法を用いてTiO_2コロイド水溶液中での基質の一電子酸化反応過程について詳細に検討した。355nmのナノ秒レーザー照射内での4-メチルチオフェニルメタノールラジカルカチオン(MTPM^<・+>)の生成と基質濃度に依存したマイクロ秒の時間領域でのMTPM^<・+>の生成を直接観測した。時間変化の速度論的解析から、それぞれTiO_2ホールによる直接一電子酸化過程およびフリーなOHラジカルによる一電子酸化過程によって生成したことが明らかになった。TiO_2表面における有機化合物の一電子酸化反応時間分解拡散反射法を用いてアセトニトリル溶媒中でのTiO_2表面上における基質の吸着と一電子酸化反応過程の関係について詳細に検討した。355nmのレーザー照射直後に基質のラジカルカチオンに帰属されるスペクトルを観測した。また、種々の基質について得られた吸着量とラジカルカチオン生成量の関係から得られた一電子酸化効率は、基質の酸化電位だけでなく、基質とTiO_2との電子的な相互作用の大きさ(H_<DA>)に著しく依存することを明らかにした。非吸着分子の一電子酸化過程-カスケードホール移動反応4-フェニル安息香酸(PBA)を表面修飾したTiO_2を用いることにより、TiO_2ホールから溶液中に存在するフリーな非吸着分子へのホール移動反応を時間分解拡散反射法により直接観測した。また、第2のホール移動における二分子反応速度は均一溶液中のそれと比べ立体障害により、およそ3分の2程度減少することを明らかにした。
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