研究概要 |
1.超臨界キセノン中の電子捕捉反応速度の測定 伝導度法によるピラジの電子捕捉反応速度圧力変化の測定. ピラジン,酸素(前年度測定)ともに電子を捕捉して陰イオンとなる.ピラジンによる反応速度定数k_aは酸素の場合より高いが,圧縮率が極大となる62bar付近におけるk_aの上昇は緩やかである.活性化体積も従って小さい.原因は分子体積が大きいためで,電子付着により生成する陰イオンの電荷密度が低く,十分周囲のキセノン流体を電縮できないためと考えられる. 2.超臨界クリプトン中の電子移動度の測定 2 MeV Van de Graaff加速器と8 MeVレーザー電子加速器(LEAF)を併用して飛行時間法により,低温恒温槽を工夫して-42℃迄の測定に成功した.LEAFの短いパルス幅(30 psec)を利用してパルス直後の電子熱平衡化に至るまでの過渡的現象を追跡したが,キセノンの場合のような異常信号は観測されなかった.キセノンの場合同様,運動量移行散乱断面積のRamsauer極小の存在は,高電場下の電子ドリフト速度の極大値の存在で確認された.臨界密度n_c以下の密度領域におけるクリプトン中の移動度は,キセノン中の揚合より大きいが,キセノンと同様の密度変化を示しn_c/2付近で極小となる.この変化もキセノン中同様,西川の変形ポテンシャルモデルによって説明できることを見いだした.
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