タンタル種を用いたイミンのアリル化反応 本研究ではタンタルの高いルイス酸性に着目し、カルボニル化合物などよりも求電子性の低いイミンに対する、アリルタンタル活性種の反応性を検討した。その結果、高いイミン選択性をもつことが明らかとなった。とぐに脂肪族アルデヒド由来のイミンは一般に単離が困難であることが知られている。そこで、アミンとアルデヒドからイミンを系中で発生させてアリル化する手法を試みた結果、イミンのアリル化物が選択的に得られた。また、アリルスズに代えてクロチルトリブチルスズを用いたところ、γ付加体が96%収率で高立体選択的に得られた。 インジウムヒドリドによる還元的アルドール反応 インジウムヒドリドはエノンを共役還元し、インジウムエノラートを発生する。この反応はアルデヒドが存在下もアルデヒドに影響を与えず、還元的アルドール反応により一段でアルドール付加物を与える。そこでシリルヒドリドの持つ酸素との強い親和力を利用して、インジウムヒドリドによる触媒的な還元的アルドール反応を行った。ニトリル溶媒を用いることで還元的アルドール反応が効率良く進行した。インジウム-トリエチルシラン系においてケイ素-インジウム間での金属交換がおこり、インジウムヒドリドが触媒的に発生していると考えられる。興味あることに本系ではいかなるアルデヒドの還元も全く起こらなかった。さらに本系の大きな特徴として、いままで困難であった求電子性の低い脂肪族アルデヒドを用いても高い収率で還元的アルドール反応が進行したことがあげられる。脂肪族エノンでも良好な結果を得ることができ、基質の適用範囲が大幅に広がった。また、いままでにはない高いシン選択性を得ることができた。
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