(1)デンドリマー末端へ導入する生理活性物質の合成 デンドリマー末端に導入可能な生理活性物質として、新たに、4-Halo-3-hydroxy-2-pyrone誘導体の簡便な合成法を見出した。さらに、gallic acid誘導体の合成にも成功し、様々な生理活性物質をデンドリマーと結合させる準備を整えることができた。 (2)モデル反応を用いた光線力学療法剤としての応用の可能性の確認 本研究において合成した一連のフラロデンドリマーについて、一重項酸素光増感剤としての機能を確認した。フラーレンは高い一重項酸素光増感剤としての機能が知られており、これを薬剤へと応用する研究がいくつか報告されている。しかし、フラロデンドリマーを用いた例は報告されていない。フラロデンドリマーは通常のフラーレン誘導体と異なり高い水溶性を持つため、光線力学量王座意図して使用する上で大きなアドバンテージを持っている。フラロデンドリマーを光線力学療法剤として応用する上で、いかに効率よく一重項酸素を発生することが可能であるかが重要である。そこで、いくつかのモデル反応を利用して、一重項酸素の発生効率を調べたところ、基質が高い収率で酸化されることを確認した。また、そのTONは約1000にも達し、光増感剤としては十分な活性を持つことが分かった。これは、生体内で利用するのに十分な量の一重項酸素を発生させることが可能であること、すなわち、光線力学療法剤への応用が可能であることを示している。今後は、実際の細胞を利用した生理・薬理活性試験を通して、さらに高機能な医薬品の分子デザインへと展開する予定である。
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