研究概要 |
1.イミンに対するエナンチオ選択的マンニッヒ型反応 (R)-ビナフトールより合成したリン酸エステルが優れたキラルブレンステッド酸として作用し,イミンに対するシリルエノラートの求核付加反応であるマンニッヒ反応が,高いエナンチオ選択性で進行し,対応するβ-アミノエステルが最高96%eeと高い光学純度で得られることを見いだした。反応機構についても検討し,ブレンステッド酸とイミンが9員環の遷移状態をとり,求核試薬がre-面から攻撃すると,考えている。 2.イミンに対する亜リン酸ジエステルのエナンチオ選択的ヒドロホスホニル化付加反応によるα-アミノホスホン酸エステルの不斉合成反応。 3,3'位にビストリフルオリメチルフェニル基の置換したリン酸エステルを不斉触媒として用いる事により,α-アミノホスホン酸エステルが最高90%eeで得られた。この際,イミンのチッ素上の置換基としてはp-メトキシフェニル基が良好な結果を与えた。本反応においては,リン酸エステルのホスホリル基の酸素がブレンステッドとして作用し,求核剤である亜リン酸ジエステルの水素原子と相互作用し,求核剤を活性化するという機構を考えている。すなわち,本キラルブレンステッド酸は,ブレンステッド酸部位とブレンステッド塩基部位の2官能性のキラル触媒である事を明らかとした。 3.イミンとジエンとのAza Diel-Alder反応 イミンとDanishefsky's dieneとのAza Diel-Alder反応において,触媒を検討した結果,3,3'位にトリイソプロプロピルフェニル基を導入したリン酸エステルを用いる事により,Aza Diel-Alder生成物が最高92%eeで得られる事を見いした。 以上,様々な反応が,キラルブレンステッド酸触媒により効率良く進行する事を明らかにした。
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