研究課題
外圏型ポリ酸イオン-遷移金属複合体の新規開拓を目指す過程で、Keggin型構造を持つシリコドデカタングステン酸イオン[SiW_<12>O_<40>]^<4->とLa^<3+>-edta錯体との複合体の合成を試みたところ、[SiW_<12>O_<40>]^<4->アニオン1分子に対し、ランタン原子2原子とedta配位子2分子からなる2核錯体[La_2H_3edta_2]^+4分子が電荷のバランスをとる外圏型の化合物[La_2H_3edta_2][SiW_<12>O_<40>]・nH_2Oが得られ、その構造を単結晶構造解析にて明らかにした。この物質はポリ酸イオンの酸素原子が直接希土類イオンに配位する従来の希土類含有ポリ酸とはまったく異なり、希土類イオンの第一配位圏はedta配位子で固められており、[La_2H_3edta_2]^+2核錯体と[SiW_<12>2O_<40>]^<4->アニオンとの間に共有結合や配位結合的相互作用がないという新しいタイプのポリ酸イオン-希土類元素外圏型複合体である。今後、希土類原子を可視部に発光を持つものに変えることにより、発光材料としての応用が可能になると考えられる。また、ポリ酸イオンとアルカリ金属イオンとの複合体の新規開拓を目指す過程で、(CH_6N_3)_7Na[SiW_<11>O_<39>]・(CH_3)_2CO・8H_2Oと(CH_6N_3)K_6Na[SiW_<11>O_<39>]・11.5H_2Oという二種類の新規化合物が得られ、それらの単結晶X線構造解析を行った。これらはアルカリ金属イオンが直接欠損型Kegginイオンの欠損部に配位しているため外圏型の複合体とは言えないが、有機陽イオンと無機陽イオンを組み合わせることにより、対称心を持たない空間群にポリ酸イオンを結晶化することができ、ポリ酸を用いた非線形光学材料の合理的設計の可能性を示した。実際、前者の化合物においては、第二高調波発生を確認した。
すべて 2006 2005
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