研究概要 |
ネプツニウムの七配位化合物としては、従来(NH_4)_2NpO_2.H_2OとM_2(NpO_2)_2V_2O_7(M=K, Tl)の^<237>Npメスバウアー分光が行われているに過ぎない。 錯体に着目し、七配位の窒素を配位原子として持つNpO_2(acac)_2pyを合成し、その^<237>Npメスバウアースペクトルを11K,20K,30Kおよび40Kで測定した。 温度の上昇に伴い磁気緩和が観測された。11Kにおけるメスバウアーパラメーターはδ=-39.9mms^<-1>(4.2KのNpAl_2基準)、e^2qQ=192.8mms^<-1>およびH_<eff>=220.1Tである。 δの値はNpの酸化数がNp(VI)である事を示す。また得られたδの値はδをネプツニウム化合物のネプツニル基のNp-O結合距離に対してプロットした直線上にほぼ乗っている。 本研究の窒素配位錯体の-40mms^<-1>というδの値はNpO_2C_2O_4.3H_2O(-47mms^<-1>)のような酸素七配位化合物より、より正である。これは窒素原子からネプツニウムの5f軌道に、酸素原子に比べより多くの電子が供与され、その結果6s電子への遮蔽効果が増大し、従ってNp核上のs電子密度が減少したとして説明される。
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