1.触媒活性状態の特定 銅イオンを触媒して溶存酸素によりアスコルビン酸(AA)をデヒドロアスコルビン酸(DAA)に酸化する反応と、生成したDAAと_<o->フェニレンジアミンの縮合による発色反応とを組み合わせて銅を定量することにした。銅溶液と各反応試薬溶液を試験管内で反応させ(手操作バッチ法)、定量条件などを検討した。触媒作用(触媒活性状態)を示す銅の化学的形態を特定するため、錯化剤としてシュウ酸イオンを加え、シュウ酸濃度と反応性銅の存在率(定量可能な銅濃度/全銅濃度)との関係を調べ、平衡定数から算出した種々の銅(II)シュウ酸錯体の存在率と比較した。その結果、シュウ酸イオンが1つ配位した状態は反応性を示すが、二つ配位すると非反応性を示すことが分かった。これより、二座配位子としてAAが配位できる状態の銅イオンが触媒活性を示すことが明らかになった。従って、本法で定量できる反応性銅はCu^<2+>とCu^<11>L_n(Lが単座配位子の場合はn≦2、二座配位子の場合はn=1)であることが分った。 2.状態分析システムの構築 本システムは、銅全量の測定システム、反応性銅の測定システム、フミン物質の測定システム(等)の3つの測定システムで構成する。上記の結果を基に、反応性銅の測定システムとして、各反応試薬をポンプでテフロン細管に流し、これに銅溶液を試料として注入して反応させ、フローセルで反応生成物の吸光度を測定するシステムを作製した。反応条件や装置条件を様々検討したが、分析感度が極めて悪かった。その原因を調べたところ、細管内壁への銅の吸着損失によることが分った。そこで、反応試薬等を独立した流路でセルに送り、セル内で反応させるフローシステムを作製した。これにより、手操作バッチ法と同程度の分析感度が得られるようになった。本状態分析システム全体の構築は次年度に継続する。
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