| 研究概要 |
今年度研究成果は以下の3つからになる。
1.チップ型センサーの作製と高機能化 ここでは、石英ガラス板上に半導体微細加工技術によって金および白金微小電極のパタンを形成し、作用電極、参照電極および対極を一体したセンサーを作製した。電極表面にpoly(HEMA)ハイドロゲル膜を被覆することにより検体の流速や共存有機物質からの影響を抑えることが確認された。本研究で作製したチップ型センサーは0-5PPmの範囲において電流値と直線的な関係を示し(相関係数は0.9934),応答時間は30秒以内で,50ppbまでの遊離残留塩素の検出ができた。また、溶液中に共存する界面活性剤やアミノ酸及び主な共存イオンによる妨害がほとんど認めないため,実用的にも可能と考えられる。
2.小型ポテンショスタットの開発 高性能センサーを開発するためには、トランスデューサー(信号変換装置)の設計はその鍵となる。本研究で試作した小型ポテンショスタットは、電流範囲±12nA〜±11μA(8nA/V〜7μA/V)、電位範囲±1.5V、サイズ:180×40×130mm、重量:300g、また、Liイオンバッテリ(7.2V,1500mAh)を使用して5時間以上の動作が可能であった。
3.ミクロフローインジェクション(microFIA)システムの構築 小型ポテンショスタットと電気化学センサーいよりミクロFIAへ分析システムを完成した。このようなシステムはポータブル可能で、0-40μMの遊離残留塩素の分析が可能で、優れた分析感度と精度を達成できた。また、流量数μL/min程度であるため分析に要する試薬量はほとんど必要とせず、発生する廃液などを極限に低減できるためon-site環境分析をはじめとする環境モニターリングに貢献できるものと期待している。
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