研究課題/領域番号 |
15550069
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀 智孝 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40108981)
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研究分担者 |
杉山 雅人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (10179179)
高橋 弘樹 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (00321779)
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キーワード | 層状複水酸化物 / LDH / 糖 / ラングミュア等温吸着 / 選択的吸着 / 生理活性有機化合物 / リボース / グルコース |
研究概要 |
本研究は、生理活性有機化合物中の代表的な官能基であるホスホン基、糖鎖、カルボキシル基、アミノ基、フェーノル性水酸基、核酸塩基について、これらの残基と無機吸着剤との間の化学的相互作用を構造化学的に体系化し、その成果を援用して生理活性有機化合物を効率的に捕集する手法の開発を目指して実施したものである。当初の計画に沿って、本年度は、捕集剤としてMg^<2+>とAl^<3+>からなる層状二元複水酸化物(Layered Double Hydroxide,以下LDHと略記)を、その組成比を変えながら、系統的に合成し、他方、生理活性有機化合物の代表として、分子構造の異なる13種類の糖を選び、両者の間に見られる吸着特性をラングミュア等温吸着線に基づいて、定量的に比較した。その結果、糖の分子構造を顕著に反映した選択的吸着現象を発見するに至った。すなわち、(1)吸着には、糖分子中の水酸基の数が大きく関わっていて、たとえばリボースとデオキシリボースでは、炭素数が同じであっても、後者の吸着性は水酸基の数の減少によって顕著に小さくなる。(2)水酸基の数という要因に加えて、水酸基の立体配座が関与していて、たとえば、互いにエピマーの関係にあるリポースとアラビノース(あるいは、リキソースとキシロース)を比べると、両者の間には顕著な吸着性の差が現れる。(3)上記(2)の原因を精査した結果、糖分子内で隣接する三つの水酸基が1組になって協同的に作用し、しかもこの水酸基が空間で最近接している糖では吸着力が格段に強くなるという法則を発見した。 生理活性有機化合物の吸着捕集にとどまらず、これらの結果は生命の化学進化への取り組みにも通じていて、将来の研究の広がりを伺わせるものである。まもなく、学会発表と論文作成によりこの成果を公表する。
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