研究課題/領域番号 |
15550069
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀 智孝 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40108981)
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研究分担者 |
杉山 雅人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10179179)
高橋 弘樹 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (00321779)
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キーワード | 層状複水酸化物(LDH) / 生理活性有機化合物 / 糖 / 有機リン化合物 / カルボン酸 / 水和酸化鉄 / 溶存有機炭素 / ケイ酸ゲル |
研究概要 |
最終年度に当たり、以下のようなまとめを行った。(1)生理活性有機化合物のモデルとして、まず、34種のカルボン酸及びその類縁化合物を選び、水和酸化鉄沈殿に対する吸着性を体系的に比較した。その結果、カルボキシル基を2個以上有するカルボン酸はpH4.5〜5.5で定量的に吸着捕集されること、カルボキシル基とともに分子中にヒドロキシル基が存在すると吸着は促進されるが、逆にクロロ基が存在すると吸着は阻害されること、アミノ基は芳香族カルボン酸では目立たないが脂肪族では阻害するように働くこと、いずれの置換基でもカルボキシル基に近接した位置にあるとき、その効果が最大になることが解った。(2)次に、13種の有機リン化合物を選び、水和酸化鉄への吸着性を確かめた。その結果、分子中の遊離のP-O結合の数が吸着性を支配し、この数が大きいほど吸着性が高いという経験則が見つかった。生理活性の高いリン化合物の多くのものは、2〜3個以上の遊離P-O結合を有しているので、捕集が容易であるとの予見を得た。実際にもその通りであって、ADPをはじめとする10件の有機リン化合物について、捕集と同定に成功した。(3)糖の生理活性で最も重要な点は、免疫作用である。この作用の構造化学的解明を目指して、単糖類の吸着性を実験によって定量的に比較し、併せて、この様な選択的吸着性が起こる理由を考察した。糖分子の構造を、比の値、すなわち、R値=(ある糖分子において三つの水酸基が最近接する配座の数)/(その糖が取り得る総ての配座数)を用いて表すことに成功した。ちなみに、リボース(R=1.0)はグルコース(R=0.25)より4倍の強さで吸着されるとの構造化学的予測であるが、この予測は等温吸着実験の結果とよく一致した。(4)ケイ酸ゲルを吸着剤として、天然水中から超希薄なリン酸を捕集し定量する方法を確立した。(5)天然水に溶存する有機炭素(DOC)を水和酸化鉄で捕集し、その化学的特性を考察し、水圏の環境化学的特徴と対比した。
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