1)酵素法によるキノンポリマーの合成 アルブチンを出発原料とし、ペルオキシダーゼによる酸化反応を利用してキノンポリマーを合成した。NMRや質量分析法、元素分析等により構造を確認するとともに、各種電気化学測定法を適用してポリマーの基礎的な酸化還元反応特性を明らかにした。 2)DNA-キノンポリマーコンジュゲート修飾電極の調製と電極特性の評価 電極とキノン部位との疎水性相互作用を利用しキノンポリマーをグラファイト電極に吸着させて修飾電極を得た。末端アミノ化オリゴヌクレオチドを用い、キノン骨格中の共役不飽和結合へのアミノ基の付加反応を利用してDNAコンジュゲートをin-situに形成させた。調製したDNA-キノンポリマーコンジュゲート修飾電極について、各種の電気化学測定法や水晶振動子マイクロバランスを適用して特性を評価した。その結果、電極表面でのハイブリダイゼーション反応を電気化学的に検出できることを見いだした。 3)マイクロアレイ型バイオセンサに関する基礎検討 バイオエレクトロケミカルアレイ型センサへの応用を念頭に置き研究を行った。具体的には、微少カーボンファイバー電極(電極直径33ミクロン)を用いて修飾電極を調製し、走査電気化学顕微鏡(SECM)を用いて、表面の電気化学イメージングを行った。その結果、1)キノンポリマー修飾電極系、および2)一本鎖-キノンポリマーコンジュゲート修飾電極系での電気化学イメージングに成功した。さらに2)の修飾電極系において、相補鎖DNAとのハイブリダイゼーション反応についても、SECMイメージングが可能であることを初めて見いだした。以上の結果により、SECMと組み合わせたハイスループットアッセイの可能性を示すことができた。
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