研究概要 |
干潟などのフィールドで発生する極微量のガス成分を連続的に測定するには,大掛かりなガス系やAC電源の不要な分析手法ならびに小型の装置を開発する必要がある。近年,分析デバイスや反応リアクターのマイクロ化が盛んに研究されているが,マイクロチャンネルを利用した大気成分の捕集器,すなわちマイクロチャネルスクラバーというものを開発した。マイクロチャネルを利用することによって,大気成分を極微量の吸収液層に取り込むことができる。極薄の吸収液相に得られた大気成分を蛍光や吸光度で測定することにより,大気成分を高感度にしかも連続的に測定することが可能となった。本マイクロチャネルスクラバーに超小型の検出器や,ポンプを用いない送液方法と組み合わせた小型なガス分析システムを,micro Gas Analysis Syste(μGAS)として分析化学討論会(高知大学・5月)で発表した。従来のmicro Total Analysis System(μTAS)やLab-on-a-Chipと比べると,デバイス自身だけだなく,システム全体を超小型にした点で大きく異なる。このことは将来干潟などで使用するには極めて重要なことである。また,マイクロデバイスではないが,昨年までに開発してきたアンニュラー型のガス拡散スクラバーによる分析器で,干潟でのガス分析の調査を開始した。まだ,予備的な調査にすぎないが,このような分析手法で干潟から発生するH_2SやSO_2などの成分を分析できることを確認した。
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