研究課題
基盤研究(C)
医薬品の開発過程において有効なスクリーニング系の確立は不可欠であり、特にin vitroでのスクリーニング系として簡便、廉価な方法が望まれる。ここ数年、核磁気共鳴(NMR)法の薬剤スクリーニングへの応用が試みられており、新規なスクリーニング法として注目されている。既存の方法として、リガンドとの結合を2次元スペクトルによりモニターする方法があるが、コストや分子量制限などの各種制限により、適用範囲に限界がある。本研究では、既存方法の短所を考慮し、迅速、廉価なNMRによる新規薬剤スクリーニング系の開発を目的とした。具体的には安定同位体を使用せず、分子間相互作用に関与するリガンドを1次元スペクトルで検出し、高親和性のリガンドを短時間で認識する手法の開発に取り組んだ。ヒト血清アルブミン-サリチル酸複合体およびRibonucleaseT_1-阻害剤複合体をモデル化合物として使用し、NOEポンピング、STD、WatetrLOGSYスペクトルなどの測定を行った。RibonucleaseT_1-阻害剤複合体に関して各種測定法を比較したところ、WatetrLOGSY法でのみ分子間NOEピークが観測され、その有効性が示された。ヒト血清アルブミン-サリチル酸複合体では適用可能であったNOEポンピング法は今回のサンプル系では分子間NOEの検出はできず、STDなどの他の測定法もサンプル依存性が高いことが、今回の一連の比較検討により判明した。タンパク質以外の対象として環状4糖を選択し、多糖-結合水の観測を試みた。X線結晶解析により得られた立体構造を基に、観測された多糖と水分子間のROEシグナルの距離情報を満たす結合水の位置を特定した。薬剤スクリーニングのみならず、酵素とその阻害剤、結合水といった幅広い生体物質の分子間相互作用観測にも適用できることが過去3年間の研究により示された。
すべて 2006 2005
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