研究概要 |
シリカゲルを鋳型に用いて、単分散フェニルボロン酸コポリマーゲルを合成した。すなわち、粒径5μmで、細孔径120Åの鋳型シリカゲルの表面をシリル化剤によって疎水性にした後、これと水、スチレン-ジビニルベンゼン(モル比、1:1)、過酸化ベンゾイルおよびポリビニルアルコール撹拌して、懸濁液とした。この懸濁液を加熱して、シリカ細孔内でモノマーを重合させた後、水酸化ナトリウムによって鋳型シリカゲルを溶解し、コポリマーゲルを合成した。得られたコポリマーゲルの単分散性は電子顕微鏡観察によって確認した。このコポリマーゲルを臭素化した後、ブチルリチウム、次いでホウ酸トリメチルと反応させ、さらに塩酸との反応でホウ酸エステルを加水分解し、ボロン酸結合型コポリマーゲルを合成した。ホウ素の元素分析値から求めたボロン酸の担持率は、充填剤1g当たり0.53mmolであった。また、赤外線吸収スペクトルからもボロン酸基の存在を確認した。この充填剤を25cm×4.6mm I.D.のステンレス製カラムに充填し、溶離液0.1M トリフルオロ酢酸(pH 1.3)-アセトニトリル、水-アセトニトリルおよび、0.1Mトリエチルアミン(pH 11.9)-アセトニトリル混合溶液(いずれも、1:4,v/v)を用い、気化光散乱検出器によって4種のD-アルドペントースおよび8種のD-アルドヘキソースを分析した。その結果、気化光散乱検出器による検出感度は、グルコースでおよそ3pmolであった。また、ボロン酸結合型充填剤による溶出挙動を見ると、アルドペントースでは、リボースが強く保持され、いずれの溶離液によっても溶出しなかった。アルドヘキソースでは、タロースおよびイドースが強く保持され、いずれの溶離液によっても溶出しなかった。グルコースおよびマンノースは酸性、中性で保持されなかったがpH11.9で強い保持が見られた。従って、溶離液のpHの変化によって糖の分離が行えることがわかった。
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