研究課題/領域番号 |
15550078
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
渡辺 邦洋 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40084470)
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研究分担者 |
板垣 昌幸 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (90266908)
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キーワード | ゼロエミッション分析 / 化学発光分析 / テフロンチューブ濃縮法 / オルトフェナントロリン / 固相抽出 / オンライン濃縮法 / 微量鉄 / 界面活性剤 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、オルトフェナントロリン(phen)による鉄イオンの化学発光定量条件を検討した。未反応試薬を含む使用済の排液だめから、試薬溶液を吸引し、一流路で試料溶液と反応させ、化学発光させて検出した。これを100回程度くりかえしても、ベースラインの変動がなく、分析精度にも影響されない条件を確定した。特に酸化剤である過酸化水素の安定性が問題であり、長時間の有効利用のために、0℃で循環させることにした。本法は数回の測定後、一日放置し、次の日に再度測定するという利用法であっても、再現性に問題がなく、循環させる試薬溶液体積が300ml程度であれば、1週間で100回測定後であっても検量線の傾きに変化は見られなかった。さらに、微量成分分析に適用するため、濃縮法を検討した。濃縮法はテフロンチューブへの吸着濃縮を利用する方法であり、長さ5m、内径0.5mmのテフロンチューブに対し、流量2.8ml/minで5分間鉄成分を捕集し、その後、0.1mlのエタノールで溶出し、循環させている試薬溶液の流路に導入、検出した。濃縮のメカニズムは鉄イオンの水酸化物が正に帯電したコロイドになり、これが、アルカリ処理された、テフロンチューブ内壁に吸着されたものと推定された。濃縮により、濃縮しない場合に比較し、80倍の感度の向上がみられ、0.1ppbの鉄イオンの検出が可能となった。本法におけるメカニズムにはまだ不明な点が多く、例えば界面活性剤の役割や生成ラジカルの影響など検討すべき点がいくつかみられる。今後はこれらを解明しながら、環境汚染物質と考えられる、鉛イオンのゼロエミッション分析に発展させる予定である。
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