研究概要 |
本研究では、σメトキシカルボニル-α-ジアゾアセトフェノンより発生させたカルボニルイリドと種々の親双極子剤との反応をアキラルなルイス酸およびキラルなルイス酸存在下に検討した。まず、種々のアクリル酸誘導体との反応を検討したところ、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの反応において、ルイス酸非存在下ではendo体を優先して生成するが(exo:endo=20:80)、Yb(OTf)_3(10mol%)存在下に反応を行うと、ジアステレオ選択性が逆転し、exo体が選択的(exo:endo=81:19)に得られることを見出した。また、用いるランタノイドトリフラートの金属のイオン半径により選択性が変化することを明らかにした。 また、ピルビン酸ベンジルとの反応をキラルな2,6-ビス(4-イソプロピルオキサゾリニル)ピリジン(Pybox-i-Pr)配位子とSc(OTf)_3より調製した錯体(10mol%)をキラルルイス酸触媒として、トリフルオロ酢酸(10mol%)を添加し、反応を行うと、極めて高いexo選択性(93:7)とエナンチオ選択性(94%ee(exo))で反応が進行することを見出し、高度な不斉誘起が可能であることを明らかにした。さらに、同条件下、種々のα-ケトエステル類との反応にこのキラル触媒を適応したところ、2-ケトブタン酸ベンジル、3-メチル-2-オキソブタン酸ベンジル、およびベンゾイルギ酸ベンジルなどとの反応においても極めて高いexo選択性とエナンチオ選択性で付加環化反応が進行することを見出した。 一方、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの反応は、キラルなPybox-Ph配位子とYb(OTf)_3とより調製した錯体(10mol%)を用いると高いexo選択性(82:18)と極めて高いエナンチオ選択性(96%ee)が実現できることを明らかにした。
|