研究概要 |
本研究では、o-メトキシカルボニル-α-ジアゾアセトフェノンより発生させたカルボニルイリドと種々の親双極子剤との反応をアキラルなルイス酸およびキラルなルイス酸存在下に検討した。ピルビン酸ベンジル、2-ケトブタン酸ベンジル、3-メチル-2-オキソブタン酸ベンジル、およびベンゾイルギ酸ベンジルなどのα-ケトエステル類との反応をキラルな2,6-ビス(4-イソプロピルオキサゾリニル)ピリジン(Pybox-i-Pr)配位子とSc(OTf)_3より調製した錯体(10mol%)をキラルルイス酸触媒として、トリフルオロ酢酸(10mol%)を添加し、反応を行うと、exo選択性(68:12-93:7)と高いエナンチオ選択性(80-94% ee(exo))で反応が進行することを見出し、高度な不斉誘起が可能であることを明らかにした。 一方、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの反応は、キラルなPybox-Ph配位子とYb(OTf)_3とより調製した錯体を用いると高exo選択的(82:18)かつエナンチオ選択的(96% ee)に反応できることを明らかにした。3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンとの反応では、Tm(OTf)_3および(S,S)-Pybox-Phより調製した錯体(10mol%)を触媒として用いると、高endo-選択性と極めて高いエナンチオ選択性(98% ee)で付加環化体が得られることを見出した。また、N-ジアゾアセチル-2-ピロリジノンをカルボニルイリド前駆体として、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの反応をYb(OTf)_3と(4S,5S)-Pybox-4,5-Ph_2より調製した触媒を用いて行うと、主ジアステレオマーとして得られる付加環化体において71% eeのエナンチオ選択性が観測され、構造の異なるカルボニルイリドにおいても不斉誘起が可能であることを明らかにした。
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