研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、Cp'-P配位子を利用した金属上に不斉点を有する遷移金属錯体を用いた不斉触媒反応の開発であり、ターゲットとする反応は、不斉合成を絡めた任意の炭素-水素結合の切断およびその官能基化である。平成15年度から17年度までの本研究により下記に示す成果が得られた。1.インデニル基と光学活性オキサゾリン環がアルキレン鎖で繋がれた配位子(Indox配位子)を新たに設計・合成した。また、Indox配位子を有するビスクロロロジウムIII価、イリジウムIII価錯体を合成した。さらに、Indox配位子のオキサゾリン環中の窒素部位のHemi-labile的な挙動を利用した配位子交換反応を行い、金属上に不斉点を有するカチオン性のロジウムIII価、イリジウムIII価錯体の立体選択的な合成に成功した。2.これまで我々のグループで開発し研究を進めてきたCp'-P配位子を有するロジウムI価カルボニル錯体に対するMeerwein試薬の酸化的付加反応を検討し、金属上に不斉点を有するカチオン性のロジウムIII価メチルカルボニル錯体の立体選択的な合成に成功した。従来同様の錯体は、カルボニル錯体にヨウ化メチルを酸化的付加させて後、銀塩でヨウ素を引き抜くことにより合成していた。今回開発した反応を用いると、1段階でかつ高選択的にカチオン性のロジウムIII価錯体を合成できることがわかった。3.合成したロジウム・イリジウム錯体に対するハロゲン化アリル誘導体の酸化的付加反応を検討した。その結果、ハロゲン化アリル誘導体として臭化アリルを用いた場合、予想されたアリロイル錯体ではなくexo型のカチオン性π-アリル錯体が選択的に得られることがわかった。中間体であるアリルカルボニル錯体からアリル基の転移反応がおきる前に、カルボニル基の脱離反応が進行したものと考えられる。
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