研究概要 |
テトラブチルアンモニウムトリカルボニルニトロシル鉄酸塩(^nBu_4N[Fe(CO)_3NO]TBAFe)存在下、1,2-ジエン類(アレン類)およびハロゲン化アルキルを反応させると1,2-ジエン類へのアシルメタル化が起こり(η^3-2-アシルアリル)ジカルボニルニトロシル鉄錯体が生じることを報告した。そこで今回はこのさらなる進展として、TBAFeとω-ハロアルキルアレン類を反応させ分子内アシルメタル化を経る環状π-アリル鉄錯体の開発とその反応性について検討したのでここに報告する。 塩化メチレン中アルゴン雰囲気下でテトラブチルアンモニウムトリカルボニルニトロシル鉄酸塩(TBAFe)とω-ハロアルキルアレン類を室温で15時間かき混ぜ、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して環状(η^3-2-アシルアリル)ジカルボニルニトロシル鉄錯体2を得た。次に、このようにして得た環状π-アリル鉄錯体2をTHF溶媒中で、別途調整した炭素求核剤と室温で15時間かき混ぜ、常法で処理した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して2-アルキル-2-シクロアルケノン類(3,4)を好収量で得た。 【chemical formula】 また、アレン類とアルキレン結合の両末端に反応性官能基を持つ化合物をTBAFe存在下に反応させアシルメタル化した(η^3-2-アシルアリル)ジカルボニルニトロシル鉄錯体を生成し、この錯体のアシル基の末端の反応性官能基がπ-アリル配位子に攻撃して環化する反応についても検討した。
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