研究概要 |
キラル高分子結晶が示す旋光性や圧電性の結晶光学的評価とそれに基づく開発指針を得る実験を強力に進めた. I)キラル高分子試料 対象とするキラル高分子を,L型ポリ乳酸(PLLA)と側鎖が大きいpoly-γ-benzyl-L-glutamate(PBLG)とし,特異な結合効果を追及した. II)キラル高分子結晶が秘める機能性を引き出す構造制御法の追究 短時間で巨大な力を与えることで,キラル高分子膜の構造制御を行う方法を確立し,PLLA, PBLGを用い構造制御を行った.更に,PBLGは側鎖に磁場に応答しやすい芳香環を持つので,圧力場のほかに,磁場を印加することで,精緻な構造制御体を作成することを試みた.特に10T以上の超伝導磁石の利用を考え,ヒータを用いない温度制御,溶媒雰囲気の高精度制御の実現を計った. III)ずり型逆圧電性評価装置の確立とその圧電性の評価 圧力印加型高速紡糸により得たPLLAfiberを用い,biologicalなtweezerの具現化をすすめた.プロタイプの完成をみた.研究成果は7th European Conference on Applications of Polar Dielectrics (Czech)などで発表した.多くの反響を得た.また,磁場を使用し作成したPBLG膜に20pC/N以上の大きなずり圧電率を実現することができた.この値は従来法の100倍以上大きく,actuatorとしての可能性を開いた. IV)ナノスケールでの結晶光学的評価 開発を進めてきた高分子膜用の高分解能複屈折旋光測定装置の完成をみた.この装置を使うことでPLLAとポリメチルメタアクリレートのブレンド膜を延伸し,十分な実用力学強度を持つ,分子鎖が配向しているにもかかわらず,複屈折値が非常に小さい透明フィルムを具現化した.本ブレンド膜は透明でありモバイル機の表示部に利用できる可能性がある.
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