研究概要 |
Δ_<LLL>-fac(S)-トリス(L-システィナト)ロジウム(III)部分をを両末端に有するΔ_<LLL>Δ_<LLL>-Rh(III)-Co(III)-Rh(III)三核錯体の、ロジウム(III)末端上のカルボキシル基と1,9-ジアミノノナンをペプチド結合する反応について条件を変えて行った。その結果、C末端活性化にN-ヒドロキシスクシンイミド(ONSu)を用い、水溶性カップリング試薬である1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDC)塩酸塩を用いて水溶液中で反応させる方法が有効であることがわかった。生成した錯体は、両末端ロジウム(III)部分に別々にジアミンがペプチド結合した-1価錯体、両末端ロジウム(III)部分を一分子のジアミンがペプチド架橋した-1価錯体、および片方のロジウム(III)部分だけにジアミンがペプチド結合した-2価錯体が生成していることが、カラムクロマトグラフィーにより確認された。このうち両末端ロジウム(III)部分をジアミンがペプチド架橋した-1価錯体は、脱塩して固体で得た。その構造は^<13>C NMR、吸収およびCDスペクトルにより明らかにした。また、炭素鎖の長い1,12-ジアミノドデカンを用いた場合も、同様な錯体が生成することがわかった。以上のように、水溶液中でペプチド結合が形成する条件が明らかになったので、同じ条件でΔ-fac(S)-トリス(L-システィナト)ロジウム(III)錯体をジアミンと反応させ、ペプチド架橋した不溶性高分子錯体を得た。この高分子錯体を用いて、Co(III)やNi(II)の脱着実験を行ったところ、高分子錯体上での金属イオンの脱着や置換反応が行えることが明らかになった。
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