研究概要 |
ランダム共重合はホモポリマーの物性の調節や機能化のためにしばしば行われる。均一な組成のランダム共重合体を合成することは、工業的に非常に重要であり、ラジカルビニル共重合においては、重合を共沸条件で行うことによって容易に達成される。しかしながらイオン共重合や開環共重合では通常共沸条件がなく、モノマー間の反応性が異なるため、共重合の進行に伴って残存モノマーの濃度比が変化し、共重合体の組成は刻々と変化して均一な組成の共重合体は得られない。 本研究においては、解重合が優先するためにホモ重合性に欠けるモノマーをコモノマーとして選択する平衡開環共重合により均一組成ランダム共重合体の合成が可能であることを理論的に証明し、ε-カプロラクトン(CL)/γ-ブチロラクトン(BL)系および、CL/THF系において実証した。 CL/BL系のトルエン溶媒中90℃でのアニオン共重合において、共重合体の組成はモノマーの仕込み比によって、あるいはモノマー濃度によって調節可能であり、BL含有量30%以下のランダム共重合体が得られ,その組成はモノマーの転化率によらず、ほぼ一定であった。 CLとTHFのカチオン共重合はニトロベンゼン中110℃で行った。トリフルオロメタンスルホン酸メチルを開始剤とした共重合では、反応の進行につれてTHF含量の減少と共重合体の分子量の減少が顕著であったが、n-ブチルアルコールとトリフルオロメタンスルホン酸を組み合わせる活性化モノマー機構による重合では、共重合の収率によらず、THF含量のほぼ一定な共重合体が得られた。
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