研究概要 |
ランダム共重合はホモポリマーの物性の調節や機能化のためにしばしば行われ,均一な組成のランダム共重合体を合成することは、工業的に非常に重要である。本研究においては昨年度、解重合が優先するためにホモ重合性に欠けるモノマーをコモノマーとして選択する平衡開環共重合により均一組成ランダム共重合体の合成が可能であることを理論的に証明し、ε-カプロラクトン(CL)/γ-ブチロラクトン(BL)系および、CL/THF系において均一な組成のランダム共重合体が調製できることを既に実証した。 本年度はまず、CL/BL共重合体の組成の均一さがその性質に及ぼす影響を検討した。均一組成の共重合体は不均一組成のものに比べて、結晶化度は大きくは変わらないものの、融点が低く、また酵素分解がはやく進行する傾向にあることが見出された。これはコモノマーが均一に分布しているためにPCL部の結晶は結晶化度は変わらなくても不完全さがより高いためである。 CLとTHFのトリフルオロメタンスルホン酸メチルを開始剤とした平衡開環共重合においてもモノマー濃度を上げることにより、均一組成のランダム共重合体を合成することに成功した。重合温度、仕込み比等の条件を変えることによりTHF含有量が50%程度までの共重合体の調製が可能であった。また、グリコリドとTHFから均一組成のランダム共重合体を合成することにも成功した。一方、ラクチドがコモノマーの場合は共重合体の分子量が非常に低く、実用的な意味がないことが判明した。
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