研究課題
基盤研究(C)
1.側鎖末端の化学構造がα-ヘリックスのらせんセンス反転挙動に与える影響を明らかにするために、溶媒組成-温度の相図を作成:比較的長い側鎖末端の化学構造の違いが、らせん反転挙動に与える影響を明らかにするために、ポリ(β-フェネチルL-アスパルテート)(PPLA)とポリ(β-p-クロロベンジルL-アスパルテート)(PClBLA)について、混合溶媒の組成と温度を両軸とするグラフ上にらせんの向きを表示した相図を作成し、側鎖末端基の性質はヘリックス近傍の誘電的環境を支配する因子として働いているものと結論した。PPLAに見られる低温のリエントラント左巻き相が、高温側の左巻き相と高有機酸濃度側で連続であることが分り、2つのらせん転移の関係についても重要な知見が得られた。2.ポリペプチドのα-ヘリックス-コイル転移において正転移が少ない理由は、ランダムコイル側の不安定さにある。NMR法によるランダムコイル形態の検討を実施:α-ヘリックス・コイルの正転移を示す数少ない報告例の一つであるポリ(β-ベンジルL-アスパルテート)(PBLA)/m-クレゾール系について、NMR解析を試みた。側鎖X1まわりのカップリング定数を測定し、コンホマー分率が、低温側で多いg^-(〜50%)が徐々に低下して、120℃では、3コンホマーがほぼ同率になる傾向が観測された。3.^2H-^1H交換速度を測定して、ヘリックスでも高温ではランダムコイルより速いことを確認した。4.水素結合の利用を目指して、液晶相を発現する主鎖型化合物の圧力・体積・温度(PVT)解析を行なった。液晶相における分子間相互作用エネルギーについて重要な知見が得られた。5.関連するテーマとして、側鎖に大きな双極子を有し側鎖間の相互作用が無視できない場合に適用できるコンホメーション依存特性の理論的計算法を導出し、既報の実験値と比較してよい一致を見た。
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