研究概要 |
キラルカッリクスアレーンを母体とするカテナンを収率38-80%という非常に高い収率で得ることができた.これらの分子はアニオン交換しなくても有機溶媒に可溶でありハロゲンを対アニオンとする分子の運動等物性に興味が持たれる.また,性質を比較するためアニオン交換した分子も容易に調製できた.カテナンの動的挙動をVTNMRで調べた.低温では炭素鎖が奇数の場合,主にカリックスアレーン側のピリジニウム環が変化する傾向が見られた.一方,炭素鎖が偶数の時はビピリジニウム環だけではなく,カリックスアレーン部位にも変化が見られた.このように架橋鎖長の若干の違いがカテナン部位だけではなく,カリックスアレーン部位を含めた分子全体の挙動にも影響を与えることが分かった.また,コアレス温度が大きく低下し,室温近辺において運動の制御が可能であることがわかった.一方,ロタキサン構造とするためカルボニルやピリジン環を有するポリエーテル鎖を合成し,キラルカリックスアレーンに導入する反応を検討した.得られた化合物は金属イオンと顕著に相互作用することが明確になった.また.有機分子の取り込みも起こることがあきらかとなった.軸分子を加温により導入することでロタキサンへと導く検討を行ったところ割合は少ないが部分的にロタキサンを形成する可能性を見いだせた.末端に水溶性官能基を有する側鎖を導入することで水溶性デンドリマーの合成を検討したところ水・メタノールに可溶なキラルデンドリマーの形成が確認できた.
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