研究概要 |
CH_3HNCONHR(2H-C_n-U),RHNCONHR(2H-dRU),H_2NCONHRNHCONH_2(C_n-URD),CH_3HNCSNHR(2H-C_n-TU),H_2NCONHR(3H-C_n-TU)等の尿素およびチオ尿素誘導体(R=アルキル基)の結晶構造解析,物性測定より以下の結果を得た. 1 2H-C_n-TU(n=1-5,7,8,11-13,15)分子は結晶中においてtrans-cis形をとるため,二量体型,直線型両水素結合を基にした特異な二次元水素結合ネットワークを形成する.これは2H-C_n-U(trans-trans形)結晶中に常に見られる1次元直線型水素結合ネットワークとは全く異なる.2H-C_n-TU(n=5,7,8,11-13,15)結晶中では,R基の「相互かみ合わせ」が生じ,Rの乱れによる相転移が起こり得ないことが分かった. 2 3H-C_n-TU(n=8,10,12)結晶は2次元超分子のラメラ面の積層により形成され,3H-C_n-U(昨年度報告)の場合と同様に多数の相転移を起こす.転移エントロピーの大きさから,3H-C_<12>-TUの高温相は準プラスチック相であることが分かった. 3 3H-C_4-U結晶の比電導度は半導体領域にあり,その温度依存性も半導体特性を示す.プロトン伝導機構と思われる.固体NMRにより相転移に関連した分子の動的特性を明らかにした(金沢大理との共同研究). 4 2H-dRUには大きなエントロピー変化を伴う相転移が見られ,高温相は準プラスチック相の可能性が高い.固体NMRによりブチル誘導体の動的性質を明らかにした(岐阜大教育との共同研究). 5 C_<4,5>-URD結晶の基本構成単位は水素結合による2次元ひだ折れ型超分子であり,この超分子のカテナン型インターロッキングが見つかった.これは3H-C_n-Uを基にした結晶工学的予測とよく一致した.
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