研究概要 |
本研究の目的は,プラズマや光励起を利用してゼオライト中に窒素化合物を合成し,窒素と反応したサイトの状態およびその窒素化合物の反応性を明らかにするとともに,ゼオライトを反応場とした新しい光触媒材料を開発することにある。本年度は,下記の項目について研究計画を遂行した。 1.銅イオン交換ゼオライトの調製:従来の塩化銅水溶液を用いての銅イオン交換に加えて,硝酸銅,ギ酸銅,酢酸銅,プロピオン酸銅などの水溶液を用いて銅イオン交換したゼオライト試料(CuZSM-5)を調製し,その窒素吸着特性を調べた。その結果,対イオンとしてカルボキシラト(COO^-)を含んだ溶液を用いて調製したCuZSM-5は窒素分子を特に強く吸着することがわかった。この研究成果は学術雑誌(印刷中)に発表した。 2.プラズマ発生用真空ラインの製作:現有の真空ラインを改良して,ターボ分子ポンプを取り付け,高真空でプラズマ発生に使用可能なラインを組み立て試験稼働を行っている。 3.赤外分光法によるプラズマ反応種の検出と反応条件の確立:マイクロ波発生器を利用して高周波による窒素プラズマを発生させ,銅イオン交換ゼオライトへの窒素および酸化窒素の吸着を行い,このときの吸着種(反応種)を赤外線吸収スペクトル測定によって同定し,反応条件を検討している。 4.質量分析(マスフィルター)による反応種の分析:マスフィルターを用いてプラズマ処理により生成したイオンおよび中性の化学種の定性・定量分析を行う予定であり,現在,マスフィルターの性能チェック中である。 5.X線吸収微細構造法(XAFS)による反応サイトの解析:高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光研究施設(KEK-PF)における共同利用実験により,プラズマ未処理試料について銅イオンの状態と反応サイトの解析を行い,一応の成果が得られたので,学術雑誌(印刷中)に発表した。
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