研究概要 |
1.センサ信号と部分構造との関連付け 界面分極制御表面の動的な電気化学インピーダンスを測定することによって,吸着分子の検出と物質情報の抽出を行なうことができた.その際,電極表面のラフネスを反映したCPE(Constant Phase angle Element)特性を測定することで界面における化学物質の吸着状態を反映した情報を検出した.電極電位の動的な制御により化学物質と界面との相互作用を変化させ,化学物質の部分構造と表面との相互作用について観測し,表面に吸着する分子の部分的な構造を調べた.分極制御された表面は単純な金属表面であっても化学物質と多くの分子間力によって相互作用する.静電的相互作用,双極子相互作用,ファンデルワールス力,水素結合,疎水性相互作用,π電子共有による吸着相互作用などである.これらの相互作用を利用することで,芳香族,カルボン酸,アルキル鎖等,分子の部分構造による化学物質のグルーピングを行なった.また,表面での吸着を利用して高感度な物質検出を実現できた. 2.表面分析による相互作用メカニズムの解明 上記と併せて,ESCA, AFMを用いて表面吸着分子の定量・固定を行った.この表面分析により吸着相互作用のメカニズムの解明とセンサの表面機能設計に有用な知見を得た. 3.電極表面の機能化 電極表面を化学修飾することで分子の部分構造を認識できる表面を作成した.自己組織化単分子膜と分子鋳型法を組合わせ,ベンゼン環,アルコール性水酸基,アルキル鎖など特定の構造にフィットする吸着サイトを形成し,電極表面への分子吸着に特異性を持たせることができた.この機能化によって,応答感度と応答特異性を向上させることができた. 4.以上のセンサの高機能化に関する研究により,化学特質をその特徴によりグルーピングする汎用化学センサの基礎を確立した.このような分析方法は科学センサのみならず,匂いコードに基づく匂いの定量化,さらに表面の簡易分析手法として応用が必要である.
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