研究概要 |
動的な界面分極制御表面の電気化学インピーダンスの測定により,吸着分子の検出と物質情報抽出を行なった.その際,電極表面のラフネスと原子レベルの不均一性を反映するCPE(Constant Phase Element)特性を測定することで界面における化学物質の吸着状態を反映した情報を入手した.表面に吸着する分子の部分的な構造を調べるため,電極電位の動的な制御により化学物質と界面との相互作用が変化させ,化学物質の部分構造と表面との相互作用について研究を行なった.分極制御された表面は化学物質と多くの分子間力によって相互作用する.これらの相互作用の変化を利用して得られるインピーダンスプロファイルにより,表面への吸着物質の部分構造に関する情報を得る事ができた. 上記と併せて,ESCA, AFMにより表面吸着分子の表面分析を行なった.この分析により吸着相互作用のメカニズムの解明を行ない,センサの表面機能設計へ反映させることができた. さらに,電極表面を化学修飾することで分子の部分構造を認識できる表面を作成した.自己組織化単分子膜と分子鋳型法を組合わせ,特定の部分構造にフィットする吸着サイトを形成し,電極表面への分子吸着に特異性を持たせた.このようにして機能化された表面によりベンゼン環,アルコールに対する感度を得る事ができた. 以上の成果により,測定された化学物質はその部分構造によりカテゴリー分けすることができた.この化学物質情報は匂いコードと関連しており,匂いの質の定量化を可能とする.また,開発されたセンサは簡易な分析化学手法を提供し,部分構造による化学物質グルーピングを実現できる.
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