研究課題
基盤研究(C)
本研究では、研究視点を「生体酵素ニトロゲナーゼの活性中心の固体表面上への展開」に基軸をおいて、生体酵素の活性中心の機能原理の解明とその機構に基づく新しい人工触媒単位の提案を行なうことを目的としている。本年度は、気相反応場を通じて予め生成させた複合機能ナノクラスターを、レーザー蒸発法と分子ビーム法とを用いて、有機金属クラスターや分子ナノクラスターとして生成させる手法の確立を行なった。また、これらを生体模倣機能触媒への展開をはかる要素技術として、前年度までに確立したソフトランディング法に、固体基板の多様性を持たせる展開を進めた。とりわけ、ソフトランディングさせる固体基板として、金基板上の自己組織化膜を利用することの利点と限界を、ソフトランディングさせた有機金属クラスターの反射型赤外分光と昇温脱離分光によって調べた。その結果、自己組織化膜に用いるアルカンチオール分子の炭素鎖の長さが10原子以上になると、ソフトランディングの効率が上昇し、炭素鎖18原子では、ほぼ室温の捕捉が達成されることを明らかにした。さらに、この基板上でのソフトランディングされたクラスター種の配向を、反射型赤外分光の表面選択則を考慮して評価したところ、自己組織化膜の炭化水素鎖とナノクラスターの相互作用によって、異方性を有するクラスター種の配向が、炭素鎖12原子以上では制御できることがわかった。固体基板には、生体酵素模倣の活性基板の多様性を持たせるために、炭素鎖で修飾したシリコン基板を導入し、ソフトランディングが十分行なえることを確認したものの、ナノクラスターの捕捉温度が280K以下と低いことがわかった。以上、利用対象の固体基板の多様化によって、ソフトランディング法が機能ナノクラスターの固体表面への固定技術として幅広く利用できることを実証した。
すべて 2006 2005
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