研究概要 |
(CH_3)_4NFにHFまたはDFを反応させることにより、(CH_3)_4NF・mHF(m=3〜5)または(CH_3)_4NF・mDF(m=3.0,3.5,4.0)を調製した。(CH_3)_4NF・mHFとNH_4F・nHFの高エネルギーX線回折の解析から、(CH_3)_4NF・mHFは、液体状態にもかかわらず(CH_3)_4N^+カチオン-カチオン相関を有するため、NC_4の正四面体による強固な分子内構造を保持することがわかった。また、ラマンスペクトルおよび赤外吸収スペクトルとAb initio計算との比較から、(CH_3)_4NF・mHF中には、(FH)F^-,(FH)_2F^-および(FH)_3F^-のほか、自由なHF分子も存在し、(FH)_2F^-が最も多く存在することが明らかになった。一方、(CH_3)_4NF・mDFの両スペクトルとAb initio計算との比較から、この常温溶融塩中でも、(FD)F^-,(FD)_2F^-および(FD)_3F^-の存在が明らかになった。(CH_3)_4NF・mHFでは、mの増大につれて、電気伝導度は増加するのに対し、粘度は減少した。それは、各物性が常温溶融塩中に存在する自由なHF分子の濃度に依存するためである。 (CH_3)_4NF・mHF(m=4,5)にCsFを添加した混合浴をニッケル陽極で電解すると、陽極ガス中の(CF_3)_3Nの生成割合は最大で40.5%になった。溶射法またはSol-gel法で作製したLiNiO_2あるいはLaNiO_3被覆Ni板陽極を用いた(CH_3)_4NF・mHF単独浴の電解では、陽極表面での絶縁性NiF_2の生成が抑制され、皮膜抵抗が低減することが確認された。陽極ガス中での(CF_3)_3Nの生成割合の最大値は、溶射法LiNiO_2被覆Ni板電極で33.1%、Sol-gel法LiNiO_2被覆Ni板電極で27%およびSol-gel法LaNiO_3被覆Ni板電極で25%であった。
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