研究概要 |
平成16年度は、15年度に引き続き、ラン藻(シアノバクテリア)(Synechococcus elongates PCC7942)を用いて100ppmのBisphenol A(BPA)の塩素置換体Tetrachlorobisphenol A(TCBPA)やPhenolの塩素置換体Chlorophenol(CP)の分解過程を検討した。主として物質の分解はHPLCを用いて追跡し、分解した塩化物イオン濃度の定量にイオンクロマトグラフィーを用いた。室温、1,000LuxでのTCBPAとCPの分解では、塩化物イオン濃度の増加が見られた。2-,3-および4-Chlorophenolの分解を検討したところ、2-Chlorophenolは、3-および4-置換体よりも著しく分解が速いことが判明した。現在、分解中間体をGC-MSで追跡している。Tetrachlorobisphenol A(TCBPA)の分解過程を推測するために、Tetrabromobisphenol A(TBBPA)の分解を試みたところ、メチル基とブロモ基が1つづつ外れた中間体を経由して4-Ethyl-2,6-dibromophenolの生成が確認された。照度(500,1000および2000ルックス)についての検討もおこなったが、照度が増加するにつれて、pHが増加し2000ルックスではpHが9から12付近まで増えることが判明した。これは、培地として入れた硝酸塩が還元されアンモニウムイオンが生成したものと考えられる。 ついで40ppmの濃度のDichlorodiphenyltrichloroethane(DDT)の分解を世界最古の植物で藍藻と同種の紅藻でイタリアの高温酸性温泉に生息するシゾン(Cyanidioschyzon merolae 10D)を用いて検討を行なった。DDTをXADに吸着させ、その分解条件の検討を17時間から2週間に渡って行った。両者ともGC-MSの測定の結果、Clの還元および脱離した化合物が生成していることが判明した。 16年度は、分解条件の検討や藻類中に残存している物質の抽出の検討が十分出来たので、17年度は詳細なデータが出るものと確信している。さらに食用のスピルリナ(Spirulina subsalsa NIES-39)に関しても検討をおこなう予定である。
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