研究課題
基盤研究(C)
本申請研究では化学的に標的遺伝子に対して点変異を導入する技術への展開を目指し、標的遺伝子に対して効率的、かつ選択的に反応する反応性核酸の開発を検討した。本研究者は既に反応性核酸2-アミノ-6-ビニルプリンを糖からスペーサーで結合した分子を含むオリゴDNAが2本鎖に対して非常に選択的に反応することを明らかにしている。さらにこれらの反応性オリゴマーを反応させたプラスミドが細胞内で複製される過程で反応性部分に点変異が導入されることを明らかにしている。しかし本反応は酸性条件下でしか進行しないため細胞内で直接標的に対して変異を導入することは難しい。そこでまず平成15年度には2本鎖DNAに対して3本鎖を形成し中性条件下でも効率的に反応する人工核酸として、すでに独自に開発している1本鎖に対して効率よく反応する基本構造に基づき、ポストモディフィケーション法により新規反応性核酸を合成し、これらの反応性を調べた。その結果、反応はほとんど進行せず、これらの原因を調べたところ、反応性核酸を含むオリゴDNAでは安定な3本鎖が形成できないことがわかった。そこで平成16年度にはより効率的に反応する構造を検索すべく、種々の誘導体を合成しその反応性について検討した。その結果、アルコールを置換基として有するビススルフォキシド体が非常に効率的に反応し、反応1時間後、約50%の収率で付加体を与えることがわかった。また本研究期間中に共同研究にて、ポリエチレングリコールを結合させた反応性オリゴDNAとPICミセルを組み合わせることで、細胞内において反応性核酸が天然型のアンチセンスオリゴDNAのアンチセンス効果を増強できることを明らかにした。さらにこの増強効果は反応性核酸の導入位置がひとつずれた配列を用いた時には観測されず非常に選択性が高いこともわかった。これらの結果は、細胞内でも反応性オリゴDNAが目的の反応を起こすことを示唆していると考えている。以上、本研究の成果として、細胞内において化学的に点変異を導入する技術の基本である高い反応性を持つ反応性核酸を開発し、さらに細胞内でも反応が進行することを示唆する結果を得ることができた。今後はこれらの情報に基づきさらに点変異導入技術への展開をめざしたいと考えている。
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