平成15-17年度の全期間で、新規有機半導体化合物の創出とその有機半導体デバイス(有機トランジスタ、有機ELなど)への応用と評価を中心に研究を行った。下記に詳細について述べる。 1.含カルコゲンπ共役有機半導体の新規開発と有機トランジスタヘの応用 含カルコゲンπ共役有機半導体が優秀な有機トランジスタ材料群となりうることを見出した。30種類程度の新規含カルコゲン化合物について検討を行ったところ、拡張型含カルコゲンπ共役化合物が、高いキャリア移動度、on/off比を示すことが確認された。真空蒸着膜法を用い有機薄膜を作製した結果場合、最高で移動度が1.0cm^2/Vs、on/off比10^6と、蒸着膜を用いた有機トランジスタとしては最高レベルの値を得ることに成功した。今後、素子安定性の向上、塗布型材料の開発に力を入れて研究を行う予定である。 2.σ-π系共役系化合物の新規開発と有機EL素子・有機トランジスタ素子への応用 σ-π系共役系化合物はこれまで、有機デバイスとして応用された例はなく、未知の化合物群である。本研究では、20種類以上の新規σ-π系共役系化合物について、そのトランジスタ特性・EL特性を精査した。これらの化合物群がトランジスタ特性を示すことを世界に先駆けて見出すことに成功した。特にチエニレン-シラニレン系低分子化合物では、移動度が最高で2x10^<-2>cm^2/Vsと良好トランジスタ特性が得られている。また、有機EL材料としても有益なことが示され、特に、その光活性を利用したPLイメージングでは、これまでにない全く新しい技術の提案でをすることに成功した。
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