研究概要 |
1.新規第四級アンモニウム塩(QAS)型光塩基発生剤の開発 QASのカチオン部位を1-フェナシル-(1-アザニア-4-アザビシクロ[2.2.2]オクタン)に固定し対アニオンの及ぼす効果を検討した。 対アニオンにチオシアナートを持つQASでは、254nm光照射で生成したジアザビシクロオクタン(DABCO)は、副生成物とチオラート/アンモニウム錯体を形成した。このQASを添加したポリグリシジルメタクリラート(PGMA)薄膜は後加熱条件を選択することで光照射部分のみ架橋し、選択的にテトラヒドロフランに不溶化できた。 セレノシアナートアニオン、フタルイミドアニオンを有するQASは融点、熱分解温度とも低かった。2,4-ジニトロフェノラートアニオンを有するQASを添加したPGMAは光照射後加熱しても架橋しなかった。 tert-ブチルベンゾエート、ジフェニル酢酸、ベンゾイルギ酸の各アニオンを有するQASはいずれも有機溶媒等に優れた溶解性を示し熱分解温度も高く、光照射でDABCOを生成することも1H NMRスペクトルおよび色素の呈色反応から確認した。これらのQASを含むPGMAは光照射後加熱で架橋した。 さらにカチオン部位を変え1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンを生成するQASの合成にも成功した。 2.QAS型光塩基発生剤の長波長感光化 第一級アミンを光照射で生成する0-アシルオキシムや、加熱を併用する架橋系に有用な0-カルバモイルオキシムの365nm光や405nm光で増感効率の高い増感剤を探索したところ、チオキサントン誘導体やケトビスクマリン誘導体が候補に上がった。これらの知見をQASに応用し増感効果を試して見たところ、イソプロピルチオキサントン存在下366nm光照射でベンゾイルギ酸アニオンを有するQASが光反応し、PGMA膜も不溶化させることができた。
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