研究課題/領域番号 |
15550172
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今中 信人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30192503)
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研究分担者 |
足立 吟也 重里環境, 化学研究所, 所長(研究職) (60029080)
増井 敏行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00304006)
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キーワード | 多価イオン / 固体電解質 / リン酸塩 / ナシコン型 / センサ / アルミニウムイオン / プラセオジムイオン / NOx |
研究概要 |
これまで固体電解質中の伝導イオン種としては1,2価イオンがよく知られているのに対し、3価以上の高価数カチオンは周囲に存在するアニオンとの強い静電気的相互作用のため固体中の伝導は困難であると考えられていた。しかし、3価イオン伝導に適した結晶構造や伝導イオン種を厳選することで、これまでに研究代表者らはタングステン酸スカンジウム(Sc_2(WO_4)_3)型構造を有する一連の3価イオン伝導体の開発に成功している。そこで本研究では、研究代表者らが世界で初めて開発することに成功したSc_2(WO_4)_3型3価イオン伝導体の研究成果を基に、地球上で安定に存在するリン酸塩を固体電解質母体に選択することで、あらゆる環境中でも安定で、かつ高いイオン伝導性を示す、より実用的な3価イオン伝導体の開発を目指した。また、開発した多価イオン伝導性固体電解質を用いてガスセンサを作製し、その実用化を目指した。 ナシコン型構造を有し、2価の酸化物イオン伝導体と同程度の実用領域に達する高いAl^<3+>イオン伝導性を示す(Al_<0.2>Zr_<0.8>)_<20/19>Nb(PO_4)_3を開発し、これに酸化物イオン伝導体としてイットリア安定化ジルコニアを組み合わせ、さらに検出極としてLiKNO_3を固溶させた(Gd_<0.9>La_<0.1>)_2O_3を用いたNOxガスセンサを作製した結果、従来の固体電解質型NOxガスセンサでは達成することが困難であった、250〜300℃の中温領域で精度良くNOガス濃度を計測できるセンサの開発に成功した。 また、これまで電子伝導が発現するために伝導イオン種としては不適当であると考えられてきたプラセオジムイオン(Pr^<3+>)を選択し、NASICON型構造を有する(Pr_xZr_<1-x>)_<4/4-x>Nb(PO_4)_3-NbPO_5コンポジットの開発にも成功した。このものの導電率はこれまでに得られているSc_2(WO_4)_3型3価イオン伝導体と比較すると100倍程度高い値であった。また、伝導イオン種は、電気分解によりプラセオジムイオンであることが明らかとなった。
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