(1)CF_4を用いるプラズマフッ素化による石油コークスの表面構造の変化 石油コークスおよび1860℃、2300℃、2800℃における熱処理で黒鉛化した石油コークスの表面構造をCF_4ガスを用いるプラズマフッ素化で変化させ、その表面構造変化と有機溶媒中における電極特性を調べた。 プラズマフッ素化を行った石油コークス試料のフッ素含有量はフッ素ガスによる表面フッ素化の場合より少ない。フッ素化時間15分の試料ではフッ素は検出されず、30分と60分間フッ素化の試料で0.1〜0.7at%のフッ素が黒鉛化処理温度の低い試料で検出された。XPSによる表面分析ではすべての試料でフッ素が検出され、フッ素化時間が長くなるにつれて表面フッ素濃度は高くなった。フッ素化によって比表面積は減少し、またラマンスペクトルより表面付近の構造の乱れが大きくなることがわかった。 (2)プラズマフッ素化石油コークスの有機溶媒中における電極挙動 1mol/dm^3 LiClO_4エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)中における石油コークス試料のサイクリックボルタンメトリーでは未処理と1860℃熱処理石油コークスでは変化が見られなかったが、2300℃と2800℃で黒鉛化した試料ではリチウム基準0.6Vに現れるECの還元分解のピークが小さくなり、フッ素化の効果が観察された。60mA/gにおける定電流充放電では、2300℃および2800℃熱処理試料で初期クーロン効率がそれぞれ6〜8%、8〜10%上昇し、フッ素化の効果が見られた。これは高温熱処理によって生じた石油コークスの端面の閉塞構造がフッ素化によって開かれたためと考えられる。
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