研究課題/領域番号 |
15550174
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
川口 雅之 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (10268295)
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研究分担者 |
榎本 博行 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (10213563)
伊藤 英明 日本曹達株式会社, 主席研究員
羽鳥 浩章 産業技術総合研究所, エネルギー利用研究部門, グループ長 (50357787)
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キーワード | ナノハイブリッド材料 / Ti / C / N / O系材料 / 光触媒 / バンドギャップ / 水素発生 / 水素貯蔵 |
研究概要 |
光触媒として酸化チタンが古くから研究されていて、既に実用化されている。しかし、酸化チタンはバンドギャップが3.2eVと大きく、電子を励起するためには紫外光が必要であった。このため、酸化チタンに炭素や窒素を固溶させることによってバンドギャップをコントロールすることが検討されており、可視光で電子励起される材料は報告されているが、光電流値の大きい、すなわち水素発生能や有機物の分解能のより高い材料が要望されている。これに対し、本研究では、研究代表者らがこれまで行ってきたB/C/N系の材料に対し、酸化物をナノメータオーダー複合化したナノハイブリッド材料を作製し、光触媒作用による水素発生、および貯蔵の可能性を探索している。 本年度は、当該研究費で購入したキセノンランプを用い、昨年度作製した材料および今年度新たに作製したTi/C/N/O系の材料について光触媒としての評価を行った。昨年度は四塩化チタンとアセトニトリルあるいは四塩化チタンと竹の反応によりTi/C/N/O系材料の作製を行ったが、今年度はさらに四塩化チタンと木材(樺材)の反応によりTi/C/N/O系材料の作製を行った。光電気化学特性については、本研究費により購入した電気化学セルを用い、0.5M硫酸水溶液中でキセノンランプおよびハロゲンランプによる光照射により行った。 今年度作製したTi/C/N/O系材料は、水分解が起こらない一定電位(0.5V、1.0V vs. Ag/AgCl)でその電流密度が木炭やTiO_2に比べ大きく観察された。また、光照射しない場合に比べ、0.5V vs. Ag/AgClで行った場合、Xeランプの可視光照射下(カットフィルター使用)で電流密度が1.4倍、紫外光を含むハロゲンランプ照射下で電流密度が2.4倍と増加した。この結果は水素発生をTiO_2より効率よく行え、また有害有機物を太陽光により分解する光触媒として有望であると考えられる。昨年度の結果と今年度前半の結果を含め、平成16年10月にハワイで行われた電気化学の国際会議で発表した。
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