研究課題
本研究は、クリーンエネルギーの一つである水素エネルギーに関連して、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、チタンなどの軽元素から成り、ナノメータオーダでハイブリッドさせた材料を作製し、水素の製造と貯蔵にこれらの材料を応用することを目的としている。今年度は、光照射下での水電解による水素製造を目的とし、昨年度作製したチタン、酸素、炭素、および窒素を含む材料(以下Ti/O/C/N系材料と略する)の中で、木(樺材)や木綿と四塩化チタンの反応により作製した材料について反応条件による光触媒特性への影響を調べた。また、水素吸蔵のためのホスト材料として、ホウ素、炭素、窒素から成る層状化合物にリチウムを化学的・電気化学的にインターカレーションさせた材料を作製した。樺材あるいは木綿のような天然素材と四塩化チタンとの反応によりTi/O/C/N系材料の作製を行った。いずれの材料についても、中心が結晶性の低いカーボンで表面にアナターゼ型およびルチル型酸化チタンを有することがわかった。樺材と四塩化チタンを800℃で反応させた材料の表面に存在する酸化チタンの光学バンドギャップは2.76eVであり、典型的な酸化チタン(TiO_2)のバンドギャップ(アナターゼ型:3.2eV、ルチル型:3.0eV)より小さな値を示した。この材料は、硫酸水溶液中でハロゲンランプあるいはキセノンランプ照射により、水の分解を促進するという光触媒効果を示した。また、BC_6N組成の材料にリチウムを化学的にインターカレーションさせると、グラファイトの場合とは異なり、溶媒を共挿入しにくいことが明らかとなった。アルカリ金属を含むこの材料には水素吸蔵の可能性があると予想される。以上の結果について、平成17年6月にフランスで行われたインターカレーションに関する国際会議、および平成17年12月にハワイで行われた環太平洋国際化学会議で発表した。
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