研究概要 |
三年計画の最終年度の今年は、得られたメルカプトカルボン酸インターカレーション化合物の応用の可能性のひとつとして重金属イオンの吸着特性について検討を行った。メルカプトコハク酸をインターカレートしたMg-Al系層状複水酸化物を吸着剤として、様々な金属イオン(Hg^<2+>,Ag^+,Cu^<2+>,Pb^<2+>,Cd^<2+>など)の吸着特性を調べ、金属イオン吸着の選択性について検討した。 LDH層間のジスルフィド結合は,Hg^<2+>とAg^+に対して選択的な吸着を示し、その特性は層間のジスルフィド化合物により、大きく変化した。特に、Hg^<2+>に対して高い吸着能を示し、1時間以内にほぼ定量的に吸着できることがわかった。また、Ag^+に対して多少時間がかかるが、Hg^<2+>と同等の吸着能を示すことがわかった。その吸着サイトは、-S-S-で、金属イオンと1:1の結合をしている。このことは、固体^<13>C NMRスペクトルおよびラマンスペクトルからも確認できた。 また、各種メルカプトカルボン酸についてその吸着能を比較すると、必ずしもS-S-サイトの数に比例せず、このような変化が、LDH層間のジスルフィド結合周囲の空隙の分布度合いによると考えられ、LDH層間が選択的反応場として利用できる可能性を示唆している。
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